紅茶鑑定士の仕事

様々なメーカーの紅茶はどのようにして作られているのでしょうか。紅茶の買付けから、テイスティング、ブレンドまでを行っている紅茶鑑定士の仕事についてご紹介します。

紅茶鑑定士 米山欣志さんに聞く

紅茶鑑定士と聞いてどのような仕事を想像するでしょうか。1925年創業以来、紅茶のバイヤー、パッカー、ブレンダーとして古くから国際貿易港のある神戸で90年の伝統を持つ神戸紅茶(株)の米山欣志さんは、日本でも数少ない紅茶鑑定士。なぜ紅茶鑑定士になったのか、どのようなことをしているのかお伺いしました。

世界の産地を訪ねて

米山さんは師匠の下で修業を積み重ね紅茶鑑定士になったと言います。もともと、紅茶とは全く縁のない仕事をしていましたが、20代後半の時に、神戸紅茶(株)に勤務していた知り合いから、紅茶鑑定士という仕事があるがチャレンジしてみないか?との誘いを受けて入社しました。

入社後初めて飲んだイングリッシュブレックファストの味が衝撃的で、「紅茶はこんなに美味しいのか」と驚いたそうです。 今までに味わったことのない紅茶の魅力に惹きこまれ、米山さんの紅茶鑑定士としての人生がスタートしました。

紅茶は同じ産地の茶園でも、その年の気候などによって風味が大きく異なります。紅茶鑑定士は、産地の茶葉をブレンドして品質を安定させるのが仕事です。

そのためには、世界の産地の膨大な茶葉をテイスティングし、覚えなければなりません。 世界中の産地の茶園とそれぞれのクオリティーシーズンをすべて把握する必要があるのです。 それだけではありません。産地の品質が、紅茶文化の本場である英国と同様に硬水に合うものを基準にされており、軟水の日本の水で飲んだ時、味が変わってしまうのです。そのため、日本の水に合う茶葉を知る必要があります。  米山さんは、産地から送られてくるサンプルの茶葉を、日中の仕事が終了してから、遅くまでテイスティングするとともに、世界の産地を周り、味の特徴を覚えていったそうです。

買付けからテイスティング、ブレンドまで 紅茶鑑定士の仕事

神戸紅茶(株)に世界中から何千と送られてくるサンプルの茶葉は、すべてテイスティングするだけでも膨大な作業。今では、米山さんの技術を受け継ぐ井本さんと共同でするようになりましたが、かつてはすべての準備と、テイスティングを1人で行っていました。 消費地のティーテイスターは、大量のサンプルを飲み、茶葉のクオリティを瞬時に判断し、カルカッタやコロンボなどで行われているオークションでの競り価格を決めていかなくてはいけません。特に、クオリティーシーズンには膨大な茶葉のテイスティングに追われます。

さらに、産地の異なる茶葉をブレンドし、独自のブランドを作るには、膨大な茶葉の知識だけではなく、魅力的な味を生み出すイマジネーションが必要になります。 独自ブランドを開発できる、紅茶鑑定士は日本にもほんの数人しかいません。 米山さんは、長年のテイスティングを通じて、日本の水、日本人の好みにあう紅茶のイメージがつかめてきました。そして神戸紅茶(株)で、自社ブランドの神戸紅茶や幾つものOEM紅茶のブレンドに関わるようになったのです。 米山さんの手がけたブレンドティーは、現在、日本で1番の紅茶消費地である神戸の人々の厳しい舌に称賛され、多くのファンがついています。

米山さんはテレビやラジオ出演、紅茶セミナーなどで講演する機会も多く、テイスティングをはじめてされる人は、味のバリエーションに驚くと言います。 長年紅茶を愛好している人から、まだ紅茶のおいしさに気付いていない人にまで、神戸が生んだ紅茶鑑定士の技は、まだまだ進化していくようです。